空に舞う山門の屋根(2)

この度の東日本大震災は日本全体に甚大な被害をもたらしました。とりわけ東北の太平洋側の地域には地震と津波それから原子力発電所事故の放射線問題と風評被害、幾重にも重なる被害がその震災の大きさを更に拡大する事となりました。
特に歴史的な意味があったり、地域の交流の場として多くの人々の心を支えてきた社寺が大きな被害を受けている様子を目の当たりにし「 その復興に向けて被災されて方に少しでもお手伝いを」との思いでいたところ、被災された寺の山門の屋根修理工事をさせていただく事になりました。

早速、現地(宮城県遠田郡美里町)に調査に向かったわけですが、地震の脅威に驚くばかりでした。地震の水平力に耐え切れず丸桁を受ける枡組みの栓が折れ、小屋組みだけが3尺程柱からずれ落ち、梁の上に傾いて載っている非常に危険な状態でありました。更に当時は余震が続いており、大きな余震があれば最悪の場合倒壊の危険も想定されました。

まずは支柱による補強を行い、その後調査にはいる事にしました。当初は下からの揚舞により屋根を水平にまた、所定の位置に戻すという作業順序を想定しておりましたが、調査を進めるうちに小屋組みが社寺建築ではあまり見られないトラス構造になっており、しかも構造体自体は破損もしていなかったため、クレーンで吊り上げ、作業をし易い地上に一度降ろすことを考案しました。木材の比重計算により3.7t(吊り上げて戻す時点では屋根下地の重量が増えるため4.7tと試算、クレーンで実際吊り上げた時の測定も同じ結果でした)補強を行えば十分に可能な作業である事、そして幸いにも山門の前に広い駐車場もありそこをお借りする事で会社内の打合せ会で決定し、作業を進めることになりました。

工期の短縮、安全の確保の面でも非常に良い工法だったと感じています。また御住職、檀家の皆様も山門の屋根の葺地、箕甲、箱棟、鳥衾等の社寺建築特有の修復工事の様子を間近に見ることが出来て、とても感動しておられました。

クレーン作業では天秤4点吊とし、天候特に風等に十分配慮し、控えロープを張り、吊り上げ時点では既存の栓の位置を確認、小屋組みの曲がりや撚れの修正等を行った為、順調に作業を進めることが出来ました。その後屋根の銅板葺、格子縁天井の修復、妻面の壁板、妻飾り、無くなってしまっていた懸魚も今回の工事で復旧しました。
御住職はじめ檀家の皆様方に大変喜んでいただき、この仕事を通しこの度被災された方々のお役に立てたことが何よりの喜びであります。

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